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| T夫妻は新しい家のデザインに、大きく分けて3つの要素を求めました。ひとつは、愛猫カノンちゃんとサティちゃんが快適に暮らせること。新婚旅行で訪れて以来魅了されているスペイン南部アンダルシア地方のテイストをデザインの軸とすること。そして、四角四面で構成されたありきたりの住空間ではないことでした。そこで、設計者や同じ集合住宅に暮らす方々と相談しながら自由設計を進められる、都市デザインシステムのコーポラティブハウスに家を求めたのです。
「住んでからはもちろん、設計段階からとても楽しめました。同じ集合住宅で暮らすご近所さんに恵まれたことや、設計者の雄設計室 古谷雄一さんと早い段階から、意思の疎通が図れたことなどが理由ですね。住み始めて約1年半になりますが、猫も納得の住みやすさです。デザインだけでなく、猫のトイレの場所に換気扇を設置したりと、機能面のディティールにもこだわった甲斐がありました。生活シーンを追求して、ライフスタイルを具現化することからはじめたのが良かったんだと思います」 スペイン南部アンダルシア地方をデザイン・コンセプトに掲げたT邸。玄関扉を開けると、スペインの路地に迷い込んだような錯覚に陥ります。2階のアールを描く塗り壁には、キャンドル型の照明が街路灯のように規則的な間隔で点灯。まるで歴史があるように感じさせる黒い板に、鋲を打ちつけた個室の扉。人用と猫用の両方に掲げられた奥様お手製の「トイレ」を意味する絵付けを施したプレート。 重厚かつナチュラルな風合いの黒い踏板とゆるやかな曲線が相まって、美しく印象付ける階段を上れば、随所にアール型の開口部や仕切りが活きた3階に。オリジナルのアイアン製の手すりや照明。テラコッタ風の床や意匠としての梁。そして、円形のリビング。住居とは思えない洗練された空間が広がります。それはもう、「どこでもドア」で、スペインの街角へトリップしてしまったように思えるほどの完成度! 「2階の廊下は曲がりくねった路地をイメージ。3階もそうですが、広がりを演出するために収納扉にも鋲を打ちつけて何重にも黒く塗装した板扉を用いています。リビングは古城や修道院をコンバージョンしたパラドールという国営ホテルがモチーフです。ダイニングはバル(スペインの軽食屋)やパティオを融合させたような空間としました。中でも私たちが重視したのは、光の織り成すメリハリです。暗い室内に差し込む陽と、その陰影を楽しむのがスペイン流。南東の開口部に、20センチ厚のアールの壁を用いることで、デザインの統一を図るとともに、きれいな陰をもつくり出すことができました。夏場は光と陰のコントラストが特に美しく、インテリアの一部となっています」 ステップや曖昧な仕切りで区切られた、既視性のない独特なデザインのT邸のダイニング。天窓からの変化する光を楽しみながら、友人を招いてのスパニッシュパーティを頻繁に開くそうです。 「気がつくと朝になっていることがほとんど。居心地が良いみたいなんですよ」 スペインのいちばんの魅力を 「ホスピタリティ」 と語るT夫妻。 T邸の魅力は、スペイン風のデザインや光、そしてご夫妻のホスピタリティに違いない! |
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